.review論考 公開026
社会契約無き共同体/淵田 仁(#co_article026)
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Abstract
私たちは、ある共同体(コミュニティ)に尐なからず属している。例えば、家族、学校、会社、町内会、果ては国家という共同体に私たちは属している。
しかしながら、その共同体は永遠不変に存在しうるのだろうか。ベルリンの壁の破壊や歴史的国家の解体を私たちは知っている。共同体は永遠ではないということは、歴史を見れば一目瞭然である。もっと身近な例を挙げよう。仲の良い友達同士のコミュニティの解体、家族の離散。共同体の解体には多くの原因があるだろう。
近年、既存の共同体の形骸化も指摘されている。グローバリゼーションの中、国民国家はセキュリティの共同体でしかないと言っても過言ではないだろう。「むき出しの自己保身以外に共通利害はなく、そのときには共同体の道徳性はその内部に対しても外部に対しても決定的に失われる」1とすれば、「共同体」について考えることは不毛なのだろうか。
以上の問題点を踏まえ、この小論では「社会契約無き共同体」というアイデアを提出したい。つまり、社会契約というある時間になされた「約束」を介して合意形成を行う共同体ではない「共同体」は果たして存在し得るのだろうか。この問題をルソーの『社会契約論』を通して考えてみたい。
プロフィール
淵田仁(ふちだまさし)一九八四生。福井県出身。.review編集チーム。
一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程。専門は、哲学・思想史。
主な論文に、「ルソーの歴史認識における「起源」概念について―コンディヤックとビュフォンを通じて―」、『一橋社会科学』第二巻(2010)がある。
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