アブストラクト公開01
カーソルの先/水野勝仁
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【カーソルの先】
デスクトップ・メタファーが,身近な環境である「机の上」をコンピュータに持ち込んだ「自然的リアリズム」を目指していたとすれば,そこでの矢印,カーソルは実際の「机の上」にはないも関わらず画面に表示される異質な存在になるはずである.しかし,私たちはそんなことを気にすることなくカーソルを受け入れている.その大きな理由は,カーソルが私たちの手を代理するものとして考えられているからであろう.だが,よく考えるまでもなく,カーソルは身体性を欠いた単なる記号(→)でしかない.つまり,コンピュータの画面というレイヤー構造が支配する虚構・論理世界において,カーソルは「身体の代理でありながら身体性が欠落した記号でもある」という矛盾を抱えているのだ.私たちは矛盾を抱えた存在であるカーソルをごく自然に受け入れている.それはなぜなのでろうか.この問いを解明するために,「重層性を前提とする虚構世界」における「身体性」を「ラメラスケイプ」という概念で考察する齋藤環氏の論考を参照する.さらに,iPhone の成功により,レイヤー構造の外からコンピュータの画面に入り込み,レイヤー上の対象を指差すヒトの手とカーソルとの対比を行う.これらの考察を通して,矛盾を抱えている存在であるカーソルを私たちがごく自然に受け入れているという関係性の基盤を明らかにしたい.
【プロフィール】
水野勝仁(みずのまさのり).1977年生.ICU卒.名古屋大学大学院情報科学研究科博士課程修了.博士(情報科学).専門はインターフェイス論.現在,名古屋芸術大学,東邦高等学校非常勤講師.求職中.http://touch-touch-touch.blogspot.com/
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